本当の終活、真の終活とは、自分の生き方を見直し、老いの生き方を探り、いかに生老病死の苦しみを乗り越えて、安らかな心、穏やかな心(安穏への道、絶対安心の道)で生きるか、充実した人生にしていくか、だと思います。
どんな人でも、誰でも、この世に生を受けた以上、人が生物として生まれてきた以上、生老病死の苦しみから離れることはできません。
これはどんな人にとっても、どんな時代においても、ある年齢になれば嫌でも体感せざるを得ないリアルな苦悩であります。 お釈迦様は、原因は私たちの精神、心にあるということを知り、人生の苦しみを克服する術を獲得しました。 ブッダすなわち「目覚めた人」となったお釈迦様はみずから獲得した「安穏への道」は、自分自身の努力によって心の煩悩を断ち切ること、これこそが「一切皆苦」のこの世界で、真の幸福、絶対安穏を手に入れる唯一の道だとお示しになりました。
現代社会においても、この世の苦しみを消すには、自分の心の在り方、ものの見方を変えるしかないというブッダの主張はその通りだと思います。 人が老い、衰え、死ぬことがこの世の法則、自然の摂理であって、それを変えることも、なくすこともできないのであれば、受け入れる側の自分の在り方を変えるしかない。 そこにブッダの教えの本義があるのです。
大樹(菩提樹)の下でひたすら「瞑想」「坐禅」した果ての澄み切った精神の中で、ブッダはその方法を見つけ出したのです。
生きているうちから、お寺と関わりを持ち、仏教の教えを積極的に学び、それを日常生活の中で実践的に活かしていくことによって、真の幸福を得て、幸せな日常生活が送れます。 自分自身の身心を整え、宇宙・大自然とつながり、自分の中に浄土をつくっていく、自分自身が仏になる、現代の言葉で言うならば、自分自身を最高のパワースポットにしていく。 そして、家庭を、職場を、地域をこの世の極楽浄土にできたらと思います。 そのような人生に役立つ学びを、法幢寺の「やすらぎ大学」を通して広めて、多くの皆様が生き生きと輝く時間を過ごすお手伝いをしていきたいと思っています。

住職/秋田弘隆 合掌